必殺仕置人/第1話 いのちを売ってさらし首
キャスト
浜田屋庄兵衛(仕置される輩) / 松造 - 大滝秀治
牧野備中守(仕置される輩) - 菅貫太郎
的場弥平次(仕置される輩) - 近藤宏
お咲 - 今出川西紀
嘉助 - 黛康太郎
与吉 - 新屋隆弘
孫八 - 成田幸雄
あらすじ
「闇の御前」と呼ばれる凶悪犯が捕らえられさらし首となりました。
郡山の田舎から出てきたというお咲と名乗る娘は獄門になったのは父親 松造だというのでございます。
調べるうちに松造と「闇の御前」は容姿が瓜二つだったことがわかってくるのでした。どうやら御前の身代わりで獄門にかけられたらしいのです。
悲しみに暮れるお咲に同情した棺桶の錠が仕置を提案いたします ── しかもその仕置料は30両。念仏の鉄、中村主水がその話に乗ってくるのでございます。
小伝馬町の牢内に収監されている小六も巻き込みまして悪党たちへの仕置が繰り広げられるのでございます。
みどころ
第1話 というだけにスタッフの方々の力の入れようが伺えます。
薄幸の娘 お咲役の今出川西紀どのは、少し三白眼気味の腫れぼったい目にぷっくりした輪郭 ── 田舎娘役がピッタリくるのでございます。
なぜか『必殺仕置屋稼業』第2話でも沖雅也演じる市松と絡むおいしい役どころをいただいているのでございます。
“必殺シリーズ”の第1話はどれもクオリティが高いのですが、全てのエピソードの中でも群を抜いています。
弱いものを見ると放っておくことができない棺桶の錠。
なぜ、ここまで見ず知らずの人間に情をかけるのでございましょうか?(回を重ねるごとに彼の素性が語られるに従い、分かってくると思います。)
錠が棺桶に箍をはめ込む音、リズムに合わせるように吹く口笛 ── それを見つめるお咲。
そんなリリカルなシーンもありながら、余すところなく取り入れたアクション・シーンも見どころでございましょう。
兎に角、このエピソードは“錠を愛でる回”と称してもよいかもしれません。
仕置きを成し遂げた後に待ち受ける、仕置料30両にまつわるラストのほろ苦さ ──
あゝ、何度観ても見飽きることはございません!
合わせて、俳優たちの競演 ── 中でもおきん役の野川由美子どのの演技力には圧倒されっぱなしでございます。
時代劇に出演されている女優さんで、ここまで演技ができる女優さんは現在では皆無でございますね。
必殺仕置人と新必殺仕置人での中村主水(藤田まこと)と念仏の鉄(山崎努)の立ち位置の違いを比べて見るのも一興でございましょう。
今更ながら、新必殺でも棺桶の錠(沖雅也)どのが参加して欲しかったのでございます ──
心して聴け、この台詞
錠「どうにもこうにも我慢できねぇ、何をうだうだしてんだ!さっさとバラしゃいいじゃねーか、バラしゃ!」
主水「それだけじゃ、足りねぇよ」
錠「じゃ、細切れにして肥溜めにぶち込むとか」
主水「まだまだ」
鉄「病気持ちの夜鷹抱かせて鼻欠けにしてやるってのはどうだ」
主水「まだまだ」
鉄「それじゃ…それじゃ…ああ、ちきしょう身体中ゾクゾクしてきやがった!
生きてるってのも満更じゃねーな。
さて、あの外道どもをどうしてくれようか!」
主水「まだまだ」
鉄「バカヤロウ、まだ何も言ってねーや」
主水「イキるな、イキるな。男30過ぎていい格好しようなんざ落ち目になった証拠よ!」
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